タイで相撲の普及に務め、10年！東京堂書店の倉沢社長

スクムビット・ソイ71の住宅街の一角にある相撲道場。ここはタイでお馴染みの東京堂書店の店主、倉沢澄夫(くらさわ　すみお)さん（70歳）が造り上げた道場で、タイ人に相撲の指導を行っています。　

練習生は皆タイ人。男性も女性もいて、年齢も幅広く小学生から大人までいます。でっぷりとした体格のよい選手だけではなく、筋肉質のがっちりした選手から、体が細い小さい子どもまで体型も様々。ちなみに、女子はレオタードにまわしをつけるスタイル。　

日本式の道場独特の神聖な雰囲気がある一方で、生徒が純粋に相撲を楽しみながら練習している様子が伝わってきます。　

ムエタイなどの影響もあり、タイ人は格闘技自体は好き。それがきっかけで相撲を始める人もいるといいます。けれども、いざ練習となると、なかなか続かないのが悩みの種だと倉沢さんはいいます。　

長く続けてもらうには「大会でメダル獲得！」など目標を決めること、厳しい稽古だけではなく楽しさも感じてもらうこと。そして、テクニックを覚え、それを上手く使えれば勝てるという感覚がわかってくると面白さが増すといいます。　

今年は日本、コロンビア、ロシアで開催予定のアマチュアの国際大会があり、生徒はメダル獲得に向けて練習に励んでいます。日本の大相撲と違う点で、出場枠は体重別の４階級あります。　

相撲のアマチュアの国際大会が始まっていたのは約20年前。これを機に欧米の強い選手が発掘され、日本の大相撲にも外国人選手がどんどん参加するようになりました。　　

一般にイメージする相撲選手のような体格ではないが、筋肉質のがっちりした体型が目立つチャカポン選手は、この道場のリーダー的存在。過去に世界選手権で銀メダルを取ったこともあります。　

チャカポン選手は、なんと夫婦で相撲をしており、他の選手の指導もおこなっています。アマチュアの国際大会は女子の部門もあり、女子の選手も国際大会での入賞が期待できるようです。　

「相撲は女子も楽しめるスポーツ」と話す倉沢さんは、生徒をさらに強く育てるのもそうですが、一番の目標は、子どものころ空地があれば、円を描いて、相撲の土俵に見立て遊んでいたように、相撲がもっと身近なスポーツになること。そして、それが日本だけでなく「国境のない」世界で楽しまれるスポーツになること。　そのために、タイで土俵を作ったり、学校を訪れデモンストレーションをしたりと普及活動も行っています。どうしても、体の大きい人がやるスポーツというイメージがあるのもネックになってしまいますが、相撲は、本来小さい体の人が大きい人にも勝てる競技。そこが相撲の醍醐味であると倉沢さんはいいます。　

倉沢さん自身も静岡県の中学・高校と相撲部に所属していました。当時は「相撲」は身近なスポーツ。当時静岡で10校、相撲部のある学校がありましたが、今では３校か４校に減ってしまいました。相撲が身近なスポーツとしてどんどん衰退していく中、約10年前に高校の同級生で同じ相撲部に所属していた友達から、タイで相撲を普及する活動をしないかと誘われました。その当時、相撲の普及のため、日本相撲連盟はオリンピック種目になることを目指し活動していました。そして、倉沢さんは、その誘いを機にタイで相撲の指導を始めました。　

チェンマイなどの地方でも相撲をやっているところはいくつかありますが、タイ国内の大会では、毎回同じ選手同士の戦いになってしまうので、全体的なレベルがあがらない。国際大会でも通用する強さを身に付けるのに難しい環境でもありますが、道場にある大きな液晶テレビで大相撲の試合をじっくり見て研究するなど様々工夫があります。必要な基礎体力も自宅でなるべくトレーニングをするようになど、細かく指導しているそうです。

　なお、現在タイ人の練習生のみですが、日本人でも参加可能。興味のある方は倉沢さんの携帯０８１-８０４-７５２９まで連絡をください。