給料が上がれば、タイ人の生活レベルも上がる

  現在、タイでは人件費に関して、1日の最低賃金を「300バーツ」に上げる、という話が盛り上がっている。これは政権を取ったタイ貢献党の公約で、現在の1日の最低賃金を215バーツから300バーツに上げるというもの。1ヵ月に換算すると9000バーツが最低給料ということになる。そして、大卒の初任給も15000バーツに、というのも掲げている。
 果たしてこれらを本当に実行するのか。多くの企業が影響を受け、タイへの投資も減るだろう、という向きもある。この最低給料が大きく影響するというのは、多くの従業員を抱える工場などで、工員は最低賃金を基準に給料が設定されているから、40%ほどの大幅な賃上げは経営者側にモロに影響が出る。


 街の中では、日本料理店などでも20人、という従業員を雇っているところでは、6~7000バーツがベースの給料だから、それを9000バーツ以上に、となると、それだけで5万バーツの経費がさらにかかってしまう。


 そうなると人員を減らして、1人1人のクオリティーを上げる必要が出てくるだろう。
 しかし、所得が上がれば、タイ人が日本料理店に足を運んでくれる回数は増えるから、客は増えると予想される。だから人件費が上がって・・・と悩むよりは、もっとタイ人の集客を増やすことを考えるのが前向きかも知れない。


 ところで、毎年、毎年、恒例のように、年が変わると、最低賃金が上がっていて、このままでいくと215バーツが300バーツになるのには7~8年はかかる計算だった。しかし、物価は上がり、生活のクオリティーが上がっている中で、給料がそんなにジリジリ上がっていてよいものか、という疑問はある。そういう意味で、ここで一気に300バーツに上げることはタイも一段階、社会レベルが上がることにもつながるし、タイ人中間層が増えることで民主化ももっと成熟し、我々、日本人にとっても住みやすい国になるのではという気はする。


 そもそも1ヵ月7000バーツでどうやって生活していけるのか、と日本人なら思うだろう。焼肉を食べに行けば1人で1500バーツほどは使い、4人で6000バーツ。タイ人の月給なんてあっという間に使ってしまう。


 シェアをしている家賃は1ヵ月1500バーツ。交通費は毎日バスの往復で1ヵ月300バーツ。食費は1日3食、屋台で食べれば30バーツ×3食。1ヵ月で2700バーツ。そのほか、消費財を買う必要もあるだろう。これで豊かな生活をできるレベルとはまったく言えない。


 大卒のタイ人が2人で共働きをしたとして3万バーツ。これならコンドミニアムを買ってローンで1万バーツ、車のローンで7千バーツ使える。日本料理を食べる回数もかなり増えるだろう。


 人件費の安い国でずっといるのでは、タイ人の生活レベルも上がらない。 (M)