チャトチャクで買った子犬は危険！

　「ラッキー」と「カティ」がやって来たのはほんの10日ほど前。生まれて２ヵ月ほどの子犬。目がとても印象的なラッキーと、まっ白くて人形のようなカティ。どこでもらってきたのかと聞くと、親せきの女の子が、寮に持ち込んだのがバレて、預かってもらいたいと渡されたという。　　

　しかしながら、自分のアパートももちろん子犬持ち込み厳禁。泣かないのをいいことにカバンに入れて持ち帰った。実はすでに子犬を２年間、アパートに持ち帰っているので、さらにあと２匹が加わったことになる。　

　初めのうちは、その２匹がじゃれ合い、与えたものを元気よく食べていたが、ラッキーがかぜ気味で、今から考えるとエアコンもよくなかったのだろう。　

　４日目くらいだったか。ソファにカティを抱いて、うつつ…と寝てしまい、起きるとカティがソファから降りられずにいて、エアコンの風をモロに受けて、かぜ気味になってしまったようだった。　

　そして、２匹とも症状は急激に悪くなり、ラッキーは食事をしなくなった。カティも食欲がない。細るばかり。バンラック警察署の近くのペット・クリニックで、注射をしてもらい、薬ももらった。それでもなかなかよくならず、もうちょっと信用おける病院へと、スクムビットのソイ51にあるペット病院(本紙28面に広告掲載)に持っていった。　

　先生は「どこでもらったものなの？」と聞くので、受け取った親せきから問い詰めたところ、「チャトチャクで買ってきた」ということがわかった。先生によると、どこでもらったものかによって、対応の仕方が違うという。チャトチャクの場合はかなり危険だと。菌がからだに入っており、助かる見込みは50、50だという。　

　カティは以前は活発に動き回っていたが、食欲もなく、だらりとしている状態で、これはもう悪い方向にしかいかないということで、病院に預かってもらい、治療することにした。宿泊はひと晩600バーツだ。病院が何とかしてくれるだろうと思った。　

　しかし、翌日朝、病院から電話があり、カティが息を引き取ったという。小さな１つの命が途絶えてしまった。うちに来て走り回っていたのが思い浮かぶ。すごく、強情な子犬で、そんなところもかわいかった。　

　そして、ラッキー。カティが亡くなった日は病院で２５００バーツの注射を打ってもらい、何とか乗り切ったが、次の日。やはりまったく食欲がない。細るばかり。毛でおおわれているので、見た感じはそうでもないが、手で持ってみると骨の部分が出てきているのがわかる。　

　病院に預かってもらっても同じようだし、何とか食べさせようと注入器に流動食を入れて、口の中に無理やり流し込む。そしてアパートに持ち帰って夜を過ごしたが、ベッドの周りを動き回って、尿も出しているので、何とか持ちこたえられているようだと思った。そして２時間のちの夜中の１時半にふと、目ざめると、ベッドの横の寝かしておいたところに居ない。

　あたりをさがしても見つからず、トイレの中もいない。ソファを見ると、その前にピンとうつ伏せになって手足も伸ばしている状態でいた。「ベッドの横からここまで来たんだなあ」と思い、持ち上げると、いく分、からだが固くなっていて、ピンとうつ伏せした状態のまま。動きがない。「動きがないということは死んだのか」と抱きながら、少し恐くなった。　

　明かりをつけて、ようく見ると、やはり動きがなかった。どうしてソファの前まで行ったのだろう。そこで心置きなく息を止めたのだろうか。「それはきっと、あなたに抱いてもらいたかったのだろう」といわれ、悲しくなった。ベッドの横からいっしょうけんめい、ソファの前まで移動したのだろう。抱いてもらうために？　

　ダイブしたような状態のラッキーをあお向けにして見ると、尿がついていて、指の大きさほどの排便が出かかっているところだった。小さな命ながらに苦しんだのだろう。「うつ伏せにした時にピンと張ったその姿はきっとあなたに短い間だったけどありがとうと言いたかったのだろう」などと言われ、これまた悲しくなった。　

　２匹とも病院で火葬してくれるというので（１匹500バーツ）、たのんで、骨を渡してもらう（プラス１匹300バーツ）ことにした。　

　短いつき合いだったが、本当にかわいくて、徐々に子犬の性格もわかってきて、情が移っていくのが楽しかった。いないと寂しい。いると安心。そんな付き合いが５年、10年と続くはずだった。それが10日ほどで終わってしまった。　

　こんな悲しい気持ちにさせるのは、罪深いものだ。だから十分なワクチン接種などもしていない子犬をチャトチャクなどから買うのは、結局は自分を悲しませることになる。　

　本紙で広告を載せているわんわんらんどの今門さん（28ページ参照）はその点、責任を持った対応をしていて、そういう人から命ある子犬を買うことは、のちに悲しい結末を迎えないためにも、重要なことだと思った。　（Ｍ）